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解説

この曲は1939年のミュージカル『ベリー・ウォーム・フォー・メイ (Very Warm for May)』のためにJerome Kern(ジェローム・カーン)が作曲し、Oscar Hammerstein II(オスカー・ハマースタイン二世)が歌詞を書いた。
『5月にしては暖かい』と訳されている事もあるが、このメイとは主人公の女の子の名前である。
ミュージカルの方は7週間で打ち切りとなった失敗作だったようだが、挿入歌のこの曲だけはジャズ・ミュージシャン達のお気に入りとなり、1940年にはTommy Dorsey(トミー・ドーシー)とArtie Shaw(アーティ・ショウ)の録音がそれぞれトップ10入りした。
この曲の特異で難解なコード進行は歌手よりも楽器奏者の方に受けが良かったようで、その後様々なジャズ・ミュージシャンの即興演奏の土台として実に多くの録音が残されることとなった。

恐らく今日のジャズ・ミュージシャンにとってはDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)とCharlie Parker(チャーリー・パーカー)のバージョンが最も有名であろう。
イントロとエンディングには別のフレーズが付け加えられているが、このフレーズはラフマニノフの『プレリュード 嬰ハ短調 作品3-2』をモチーフにしているという説が一般的である。
セッションの場でもこのフレーズを演奏する事がお約束となっており、ジャズ・スタンダード・バイブル(黒本)にはこのイントロ部分も記載されている。
またパーカーはそれほどこの曲がお気に入りだったのか、コード進行はそのままで原曲メロディは使わずに『Bird of Paradise』という曲名で1947年にMiles Davis(マイルス・デイヴィス)との録音を残している。
※こういった替え歌(替えメロディ?)はジャズ界ではよく行われており、Contrafact(コントラファクト)という。
著作権はメロディと歌詞に適用されるがコード進行には適用されないため、著作権問題の回避策としても用いられる事も多い。もちろん原曲へのリスペクトという意味で用いられる場合もある。

また変わったところではMichael Jackson(マイケル・ジャクソン)も録音を残しており、この曲の懐の深さを知ることが出来る。

曲はABCDの構成で、歌の場合はもともとVerseがある。
最後のDのみ12小節と他より4小節多くなっており、ビギナーはロストしやすいので注意。
ドラムソロを4バースで回す場合、ドラマーはDの部分で8小節分演奏する必要がある。

#恋愛

参考音源