Autumn in New York

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解説

作曲年:1934年
作曲:Vernon Duke(ヴァーノン・デューク)
作詞:Vernon Duke(ヴァーノン・デューク)

この曲を作詞作曲をしたVernon Duke(ヴァーノン・デューク)は、1903年にロシア帝国で貴族階級に生まれ、11歳からキエフで音楽理論を学んだ後、1919年のロシア革命を逃れイスタンブールに避難し、その後1921年に渡米する。そしてニュー・ヨークでGeorge Gershwin(ジョージ・ガーシュウィン)に見出され、名前も本名のウラジミール・アレクサンドロヴィチ・デュケルスキーからアメリカ風の短い名前にするように提案され、以降はヴァーノン・デュークの名前で活動する様になる。(詩人でもある彼はクラシックの作曲も続けており、それらの活動は本名で行われた)

1934年の当初、デュークは既に『April in Paris(パリの4月)』で大成功を収めていた(作詞はYip Harburg(イップ・ハーバーグ))。その後に作られたこの『Autumn in New York(オータム・イン・ニューヨーク)』は偶然なのか意図したものなのか、そのタイトルは同じく「都市と季節」の組み合わせであり、ノスタルジックな曲調や歌詞の雰囲気もどことなく似ている。しかしながらこの曲は単なる続編ではなく、また誰かの依頼でもなくショーの為でもなく、彼が同年夏に休暇先のコネチカット州ウエストポートで、ただニュー・ヨークへの憧憬を純粋に表現した曲である。
その後同年冬にミュージカル『Thumbs Up!(サムズ・アップ!)』のためにこの曲を提供することになったが、しかしこのレヴューは大したヒットにはならず、翌年春には打ち切りとなってしまった。それから15年もの月日が経ち、1947年にFrank Sinatra(フランク・シナトラ)が歌った事でついにヒットとなり、それに続いて様々なジャズ・ミュージシャンが取り上げようやくジャズ・スタンダードの仲間入りとなったのである。

詩人としての彼の感性は素晴らしく、また曲の構造についても非常に緻密で巧妙に作られており、次々と転調するキーと浮遊感のあるメロディは歌詞が表現する世界観と見事に調和している。それ故演奏者によってコード進行が違うものが非常に多いので注意。またこの曲にはもともとVerse(ヴァース)があり歌詞も2コーラス分あるが、全てそのまま歌っているものも少ない。ヴァースは下記参考音源のMel Torme(メル・トーメ)が歌っているものを参考にすると良いだろう。

#ABAC形式, #32小節, #Verse, #秋

参考音源
Richard Himber (1935)
Joey Nash – vocal
Frank Sinatra (1947)
Billie Holiday (1952)
Bud Powell – The Amazing Bud Powell, Volume 2 (Blue Note, 1954)
Piano – Bud Powell
Bass – George Duvivier
Drums – Arthur Taylor
Charlie Parker With Strings (Clef Records, 1955)
Kenny Dorham – ‘Round About Midnight At The Cafe Bohemia (Blue Note, 1956)
Trumpet – Kenny Dorham
Tenor Saxophone – J.R. MonteRose
Piano – Bobby Timmons
Guitar – Kenny Burrell
Bass – Sam Jones
Drums – Arthur Edgehill
Ella Fitzgerald, Louis Armstrong – Ella And Louis Again (Verve Records,1957)
Vocals – Ella Fitzgerald, Louis Armstrong
Trumpet – Louis Armstrong
Piano – Oscar Peterson
Guitar – Herb Ellis
Bass – Ray Brown
Drums – Louie Bellson
Mel Torme – Songs Of New York (Atlantic, 1964)