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この曲は1928年のオペレッタ『The New Moon(ニュー・ムーン)』のために書かれた曲で、Oscar Hammerstein II(オスカー・ハーマンスタイン2世)が作詞し、Sigmund Romberg(シグマンド・ロンバーグ)が作曲した。
(このオペレッタには同じくジャズ・スタンダードとして有名になった『Lover, Come Back to Me(恋人よ我に帰れ)』がある。)
劇中で歌われている原曲は物憂げなタンゴ調で作曲されたが、その後1930年代にArtie Shaw(アーティ・ショウ)が4分の4拍子のスウィングのリズムで演奏するようになり、Benny Goodman(ベニー・グッドマン)やWoody Herman(ウディ・ハーマン)といったバンドもそれにならってこの曲を取り上げた。
しかし1950年代に入る頃にはこの曲は忘れ去られた存在となってしまっていた。
ところがこの曲はそこでは終わらず、シンプルな構成とコード進行が好まれその後の革新的なジャズ・ミュージシャン達にとっての即興演奏の絶好の土台としてこぞって取り上げられるようになり、ジャズ・スタンダードの定番中の定番曲として知られるようになった。
まずThe Modern Jazz Quartet(モダン・ジャズ・カルテット)が1955年にカノン風の対位法を使った演奏を残し、Sonny Clark(ソニー・クラーク)やSonny Rollins(ソニー・ロリンズ)といったミュージシャン達が続いた。
またJohn Coltrane(ジョン・コルトレーン)やEric Dolphy(エリック・ドルフィー)やAlbert Ayler(アルバート・アイラー)といった先鋭的なミュージシャン達にも取り上げられ、クール・ジャズ、モード・ジャズ、フリー・ジャズといったの様々な解釈の可能性を試すための土台として、実に多くの演奏が残されることとなった。
さて、日本ではこの曲に『朝日のようにさわやかに』という邦題がつけられているが、これは全くの誤訳であろう。
歌詞を見てみると、恋愛の始まりと終わりを音もなくそっと静かに昇る朝日や沈む夕日に例えているのが分かる。
その内容は「朝日の様にそっと心に忍び込んで愛の炎を燃え上がらせるが、裏切られ地へと叩き落され夕日の様に沈みすべてを奪い去る」という、恋愛の非情さを呪っているとても暗い曲である。
この曲を聞いて「どこが爽やかなのか?」と感じた人も多いと思われるが、その通りどう考えても爽やかとは正反対の曲だろう。
#AABA形式, #32小節, #失恋
参考音源
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