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作曲年:1937年
作曲者:Richard Rodgers(リチャード・ロジャース)
作詞者:Lorenz Hart(ロレンツ・ハート)
概要
この曲は1937年のミュージカル『Babes in Arms(ベイブス・イン・アームズ)』の劇中歌として作られました。『Babes in Arms』は若者たちが興行の成功を目指して奮闘する物語で、『My Funny Valentine』はヒロインのビリー・スミスが恋心を抱いているバレンタイン・ラマーに向けて歌うバラードとして登場します。
このシーンではビリーがヴァレンタインの見た目や性格の欠点をからかいながらも、彼に対する深い愛情を伝えており、彼が完璧な人間でなくても、彼の存在自体が大切であり、愛おしいという想いを表現しています。
歌詞
歌詞の内容はユーモラスでありながらも、ロマンティックな愛情表現に満ちています。
My funny Valentine, sweet comic Valentine
You make me smile with my heart
(私の面白いバレンタイン、愛おしくて可笑しいバレンタイン
あなたは私の心を笑顔にしてくれる)
この部分では「Valentine」という言葉が恋人の名前であると同時に「愛する人」という意味を持ち、ダブルミーニングになっています。また、相手のちょっとしたおかしみやユーモラスな性格を愛おしく思う気持ちが表れています。
Don’t change a hair for me
Not if you care for me
Stay, little Valentine, stay
Each day is Valentine’s Day
(髪の毛一本も変えないでほしい
もし私のことを想ってくれるなら
ここにいて、私の小さなバレンタイン
私たちにとって毎日がバレンタインデーだから)
この部分では「ありのままのあなたでいてほしい」というメッセージが込められています。さらに(毎日がバレンタインデー)というフレーズによって、相手への愛情が特別な日だけではなく、日常の中で常に感じられるものであることが強調されています。
バレンタインデーとの関連性
この曲のタイトルと歌詞には「バレンタイン」という名前が含まれていますが、一般的なバレンタインデーそのものをテーマにしたものではありません。しかし、歌詞の中で(毎日がバレンタインデー)というフレーズが使われているため、恋人に贈る曲として2月14日に合わせて演奏されることが多くなりました。
代表的な演奏
この楽曲についての名演と言えばまず二人のトランペッターの名前が挙げられるでしょう、Chet Baker(チェット・ベイカー)とMiles Davis(マイルス・デイヴィス)です。
ベイカーは1952年にGerry Mulligan(ジェリー・マリガン)との共演で初めてこの曲を録音しましたが、それ以降もこの曲を演奏し続け実に多くの録音を残しています。特に1954年のベイカー自身による儚げなボーカルと甘く繊細なトランペットによる演奏は、この曲の最も有名なバージョンの一つとなっています。
1950年初頭まではこの曲を取り上げるジャズ・ミュージシャンはほとんどいませんでしたが、ベイカーがトランペットとボーカルのヴァージョンで成功を収めると、次々と便乗する者が現れ、この曲はジャズ・スタンダードとして定着していきました。
マイルスは1956年にアルバム『Cookin’(クッキン)』のために録音しており、彼の情熱的で深みのあるサウンドとこの曲の雰囲気が非常にマッチしており、相性の良さが伝わってくるトラックとなっています。
またFrank Sinatra(フランク・シナトラ)もこの曲を歌っており、これが転機となりこのバラードはジャズファンのみならず広くアメリカの一般家庭のレコードプレイヤーからも流れるようになりました。
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参考音源
Baritone saxophone – Gerry Mulligan
Trumpet – Chet Baker
Bass – Carson Smith
Drums – Chico Hamilton
Bass – Carson Smith
Piano – Russ Freeman
Vocals, Trumpet – Chet Baker
Trumpet – Miles Davis
Tenor Saxophone – John Coltrane
Piano – Red Garland
Bass – Paul Chambers
Drums – Philly Joe Jones
Trumpet – Miles Davis
Tenor Saxophone – George Coleman
Piano – Herbie Hancock
Bass – Ron Carter
Drums – Tony Williams
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